とんぼや

オリジナル楽曲紹介、楽曲ジャケット、写真、そのほか

0313

金物屋からのぼる月/詩篇  



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金物屋からのぼる月




町の金物屋から
月がのぼった
売りものの のこぎりの刃を
ひおん
と さみしくならして

あおじろい顔は
かくしごとをするのに
もってこいだが おまえ
出口をまちがえたな

店主はといえば
合いカギ 作ります
と看板をいくつもかかげながら
たのんでも つくらぬ
たいしたかせぎにならない と
腹がすけてみえる
(ならば、かんばんをどけろ)

店主はおまえに どんな口をきいたか
あるいは口もきかなかったか

売りもののかなづちを
とん
とならして
金物屋から月がのぼった
ここぞと覚悟をきめた
入口をはいるなら
出口もきちんと計算しとけや

いましがた 亭主の脳天に
あかい星を埋めたのは
おまえみずからか
亭主の女房のほそい手か もはや
どっちにしてもおなじだが
にげたところが
金物屋の屋根では
しゃれにもならぬ
草刈機から ネジ
くぎ一本にいたるまで
こんやの一件で ほれ
しっかり光をたくわえた

こんやの月が
合鍵
とは わるい冗談
ならばついでに わらわせてくれや
こんやの月を
だれが
どこでつくったか


Posted on 2016/03/13 Sun. 07:23 [edit]

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0207

おれと単車とウォシュレット  

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離れの小部屋の屋根瓦を
大粒などんぐりが
コントンクリントンカフカフと鳴らす季節がきたもんだ
おれは革ジャンを羽織り
ほんのお飾りの絹のマフラーを首に巻いて
ナナハンにまたがる
おれのきれいな尻は
ゆったりとしたシートにしっくりなじむ
そうさ おれの人生でいちばんでえじなのは
ナナハン
つぎが ウォシュレット

愛すべきナナハン
愛さずにはいられないウォシュレット
いちばんでえじ 二番目にでえじ とはいうけれど
その差は微妙で
おれはときどき いやしょっちゅう
自分がナナハンにまたがっているのか
ウォシュレットにまたがっているのかわからなくなる
でもどっちだっておなじこと
水しぶきをはじきながら時速100キロ
ウォシュレットが高速道路を驀進中
ウォシュレットが高速道路を驀進中
秋の風も氷のようだぜ
ヘルメットのなかはおれの熱い息と冷たい風のせめぎあい
(こんなときは ウォシュレットのぬるーいお水がいいよね)

そうさ おれの人生でいちばんでえじなのは
ナナハン
ふたつめはウォシュレット
もちろん たまにうしろに乗っける彼女には
「きみがいちばん 単車は二番
ウォシュレットは三番目」
昔なつかしいカステラのコマーシャルみたいにいうのさ
彼女は 「あたしが一番なんだ」と信じている
信じているふりをしているのかもしれないが
それもどっちだっておなじこと
たとえふりでも 調子をあわせるってことが
ふたりにとってでえじなんだ

ヘルメットをかぶったきみはかわいい(これはほんとだ)
背中に思いきりおっぱいをくっつけているんだぞ
おれのからだがきみの命綱なんだから
遠慮はいらないぞ
てなこといって 彼女を悩ませたり楽しませたり
けっきょく ふたりいっしょにいいきもち

そうね おれがウォシュレットにまたがっているとすれば
彼女もウォシュレットにまたがっていることになるんだが
まあいいじゃないか 
ここやあそこにぬるーいお水をひっかけあおうぜ

おれと単車とウォシュレット ついでに彼女
おれの人生でいちばんでえじなのはナナハン
つぎはウォシュレット
三番目以下(つまり彼女も入るわけだが)
三番目以下は じっさいのところみんないっしょ
離れの小部屋も屋根瓦も
大粒などんぐりも
ドングリが鳴らすコントンクリントンカフカフという音も
彼女もみんなでえじ

つめたい雨の日はやむなし
ナナハンに乗ってるつもりで
ウォシュレットにまたがり続けるぞ
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Posted on 2015/02/07 Sat. 11:18 [edit]

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0207

包丁/ざれごと  





包丁




折り目ただしく包丁だった
どこから見ても そつなく
包丁だった
木の柄 はがねの刃
とどめの鋲
引力に従順な やさしい重さ
それらひとつひとつ
ことあるごとのけじめのように
折り目ただしく
ひとに仕えた

  
金気をきらう食材があるように
饒舌をきらった
なれあいをきらった
結束をきらった
  

出刃でもない
柳刃でもない
菜っ切りと
愛称めく名が
ときに気恥ずかしかったが
呼ばれれば折り目正しく
菜っ切り以外のなにものでもない
ときどき磨かれるが
光ることじたい
身を磨り減らしたぶんの
いいわけだった

洗っても落とせぬ
汚れをまとった野菜たちが
有識者みたいな顔をして育っていた
花鳥風月を嗤うやつ
由緒の緒を切り捨てた
傲慢な野菜たち
薔薇という名の少年はつぶやいた
「きたない野菜たちよ」  
そうしてその首を切り落とした
薔薇もまた傲慢だった

いまや 折り目の正しさと
正義は合致せぬ
饒舌をきらい
なれあいをきらい
結束をきらったが
ついに 天地神明に誓って饒舌であり
たがいに主犯従犯であるほどになれあい
殺意のもとに結束した
そうして菜っ切りは
みずからふるい立たせるせるために呼ばわる


きたない野菜たちよ


注:薔薇という名の少年、きたない野菜など…
《汚い野菜共には死の制裁を》 神戸事件少年Aの記述


Posted on 2015/02/07 Sat. 10:12 [edit]

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