きみが売りたいのはマグロか、それともケンカか。

 女の声がなんだかやけに怒鳴って、
「こんちはあ」
 といっている。
 向かいのアパートの部屋部屋に声をかけている。
 声がばかでかい。
 へんじはちっともきこえない。
 近所を声かけ歩いていよいよおれのところへ来たときにはもう気持が定まっていて、
「なんだい」
 と負けずにどなった。
 銚子からマグロを売りにきたという。
 道をゴトゴト鳴らしていたのはカートにくくりつけた発泡スチロールの箱だ。
 これからものを買ってもらうというのなら積極性ばかりでなく、信頼にたるような丁寧さがあればと思うのだが、いかにもがさつだ。
 マグロを売りにきたんだか、ケンカを売りにきたんだかわからねえ手合いだ。
「まにあってるな」
 というとあっさり帰っていった。
 はたして売る気があったのか?
 そんな疑問を玄関先にどっかと置いて姿を消した。

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立ったついでに庭へ出て、キュウリの花にたかる虫はデコピンだ。


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